母指CM関節症

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親指の付け根が痛む「母指CM関節症」とは

親指の付け根の関節のことを、「母指CM関節」と呼びます。
そして「母指CM関節症」とは、物を摘まんだり、持ったりしたときに、母指CM関節に痛みが出る疾患です。
具体的な動作としては、タオルを絞る、ドアノブを回す、瓶の蓋を回すといった動作が挙げられます。
なお、「親指の付け根の関節」と言うと、親指の2つめの関節のことをイメージする方もいらっしゃいますが、実際には3つめの、手首近くの関節のことを指します。

使いすぎ・加齢?母指CM関節症の原因

母指CM関節症の主な原因は、手の使い過ぎによって、軟骨が擦り減ることにあります。軟骨のすり減りは、加齢によっても進みます。その他、女性ホルモンの分泌の低下も、母指CM関節症のリスク要因になると言われています。

瓶の蓋を開けると痛い…症状・なりやすい人

症状

母指CM関節症の症状には、以下のようなものがあります。

  • 親指の付け根の痛み、腫れ
  • 親指の動きが悪い
  • 親指の変形
  • 物を掴む、持って回すときに痛みが出る

なりやすい人

  • 手を使う仕事に就いている方
  • 手芸、園芸を長く趣味にしている方
  • 40歳以上の女性
  • 親指に力を込めることの多い方

手術は必要?母指CM関節症の治療

母指CM関節症の治療法をご紹介します。

ステージと治療について

ステージ1

関節裂隙の軽度の開大が見られる段階です。
消炎鎮痛剤の内服、湿布の概要、温熱療法、装具療法などの保存的治療を行います。

ステージ2

関節裂隙の軽度の狭小化、2ミリ未満の骨棘が認められる段階です。
ステージ1と同様の保存的治療を行います。また、ステロイド注射を行うこともあります。
保存加療の効果が乏しい場合には手術を検討します。
手術は靭帯再建手術や骨切り術が適応になります。

ステージ3

明らかな関節の破壊、2ミリ以上の骨棘が認められる段階です。
保存的治療に加え、手術を検討します。
手術は主に関節形成手術を行います(場合によって関節固定手術を行います)。
関節形成術は大菱形骨を全部または部分的に切除し、自分の腱を用いて靭帯再建を行い、母指の可動域を保つようにします。

ステージ4

明らかな関節の破壊、2ミリ以上の骨棘、舟状大菱形骨間/大菱形小菱形骨間/大菱形第2中手骨間などに変形性関節症を伴う段階です。
保存的治療に加え、手術を検討します。
手術は関節形成手術が主になります。関節形成術は大菱形骨を全部または部分的に切除し、自分の腱を用いて靭帯再建を行い、母指の可動域を保つようにします。

ほおっておくとどうなる?

母指CM関節症を放置していると、親指の関節が曲がり、付け根側の関節が反るようになります(スワンネック変形)。また、亜脱臼に至ることもあります。

サポーターやテーピングはしたほうがよい?

サポーターなどを用いた装具療法は、痛みの軽減に有効です。夜間を含め、装着しましょう。
テーピングや包帯などは、十分な関節の矯正力が得られないこともあるため、医師と相談した上で判断しましょう。

母指CM関節症の症例

親指の付け根が痛くなり日常生活に影響が大きくなってきたら手術を考えます。
手術は関節変形の進行具合(病期)により靭帯再建術(写真①)、中手骨骨切り術、関節固定術(写真②)/関節形成術(写真③)を行います。
靭帯再建術は初期の患者様が対象です。骨の変形はほぼないですが、関節適合性が悪く痛みの原因となっている場合に行います。自分の腱の一部を用いて骨に穴をあけて靭帯を再建し関節適合性を矯正します。
関節固定術は痛みはとれますが関節可動域が悪くなるのが問題です。力仕事を要求される患者様に相談のうえ施行することがあります。
関節形成術は最近様々な方法が報告されており、最も一般的に行われる手術方法です。大菱形骨を全部または部分的に切除し、自分の腱を用いて靭帯再建を行い、母指の可動域を保つようにします。握力が少し弱くなると報告されています。

靭帯再建術(写真①)

治療前

母指CM関節症,靭帯再建術(治療前)

治療後

母指CM関節症、靭帯再建術(治療後)

関節固定術(写真②)

治療前

母指CM関節症、中手骨骨切り術、関節固定術(治療前)

治療後

②母指CM関節症、中手骨骨切り術、関節固定術(治療後)

関節形成術(写真③)

治療前

③母指CM関節症、関節形成術(治療前)

治療後

③母指CM関節症、関節形成術(治療後)

手術時間は90分程度で費用は3割負担の方で25,000-85,000円(+インプラント代など)かかります。